MIMO
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続いてMIMO技術について、同氏はまず「MIMOはスマートアンテナ技術の中でも最も高度なシステムだ」 と語った上で、「複数のアンテナから同じ帯域の電波を飛ばして本当に受信側で信号を分離できるのかを 疑問視する人もいるが、実際には逆行列を計算するだけなので処理は簡単だし、送信側が全ての アンテナから同一の信号を流すことで受信側は簡単に(逆行列の計算に必要な)行列情報を得ることが できる」と述べ、MIMOが十分に現実に使い物になる技術であることをアピールした。 その上で同氏は、同氏が所属するAirgo Networksで試作したCardBus用のMIMO対応無線LANカード (送信2系統、受信3系統)を使用し、シリコンバレーのオフィスで従来の無線LANとの比較実験を 行った結果を披露し、MIMOでは平均で2倍以上の速度が得られたほか、複数アンテナを使用することによる ダイバーシティ効果により、従来の無線LANに比べ長距離の伝送が可能になったとの結果を示した。 また「従来の無線LANでは端末を回転させるなど、ほんの数センチアンテナがずれただけで速度が 落ち込んだりするケースが多いが、MIMOでは複数のアンテナを使うためそのようなことが起きることも 少ない」と、安定性の面でもMIMOは有利であると語った。 またアクセスポイント側が複数アンテナから同時に信号を飛ばすのではなく、送信タイミングを微妙に 変化させる「Delayed Diversity」と呼ばれる技術を使うことで、クライアントがMIMO未対応の 無線LANカードを利用している場合でも、従来に比べデータ伝送が可能な距離を伸ばすことができる という実験結果も披露し、MIMOが非常に無線LANにおいて有効である様子を訴えて講演を締めくくった。