【別紙2の別添3】ビジネスプラン
ビデオ再生機能を持つ小型軽量なモバイル端末の普及にともなって,ビデオコンテンツを持ち運んで鑑賞する機会が増えている。具体的には前日に録画した番組を夜間に携帯端末に移し,通勤電車などで消化するという鑑賞スタイルである。
本研究では,高画質なソース映像からモバイル向けのビデオコンテンツを作成する枠組みを確立する。具体的には1)ビデオフォーマットを変更せずにビットレートのみを変更するトランスレーティング,2)ビデオフォーマットそのものを変換するトランスコーディング,3)ソース映像のキーフレームからなるストーリーボード,4)ソース映像を要約したダイジェストクリップの作成の各技術を実用化するハードウェアおよびソフトウェアを開発する。
本研究の成果として,「ビデオコンテンツを持ち運ぶ」という新たな鑑賞スタイルが 特別な技術のないユーザに対しても提供される。
本研究の成果を元に企画される製品は,ビデオフォーマットのトランスコード機能および映像要約機能を特徴とした,モバイル向けビデオコンテンツ作成装置となる。従来の業務向けあるいはコンピュータに精通したユーザをターゲットとした専用製品に対し,本製品はモバイル向けビデオコンテンツ生成に特化し,一連の作業を統合・半自動化したアプライアンス製品であるという点に新規性がある。特に,大学からの技術供与を受ける映像要約エンジンは独創的なものである。
多くのポータブルメディアプレーヤはビデオの符号化方式としてMPEG-4を採用している。一方,ハードディスク録画機やPCビデオキャプチャが提供するソース映像はMPEG-2が主流である。本製品はMPEG-2からMPEG-4へのハードウェアトランスコーディングを実現することで速度面の優位性を得る。コーデックチップの供給元とはパートナーシップを結んでおり,技術的サポートや新フォーマットへのいち早い対応を期待できる。さらに大学における継続的な映像要約研究の成果をソフトウェアアップデートの形で製品に反映することによって競合商品との差別化を図るとともにユーザニーズにこたえる。
本製品はユーザに対しては,撮りだめしたテレビ番組を通勤・通学電車で視聴したり, 子供の成長ビデオをいつでもどこでも手軽に鑑賞したりといった ビデオコンテンツの新たな視聴スタイルの普及を推し進めるものである。
一方で,コンテンツホルダにとってはユーザの視聴時間増加によって ビデオコンテンツの消費拡大が期待できる。 また,携帯電話端末や携帯用ゲーム機器,モバイルメディアプレーヤのメーカにとっては ビデオ再生機能の拡充した新製品の販売拡大が見込まれる。
以上のように本製品は時間の有効活用という社会的ニーズを満たすと同時に, ビデオコンテンツにかかわる産業の活性化という経済的波及効果をもたらす。
本研究は戦略7分野における2)情報家電分野に位置づけられる。 研究成果として実用化される製品はモバイル向けビデオコンテンツ作成を目的とした アプライアンス製品であり,ハードウェア設計と組み込みソフトウェアが技術の中核となる。 大学からの技術協力という形で産学連携を図っている。 また,ビデオコンテンツの視聴機会創出を通じて4)コンテンツ分野の発展に貢献する。
海外企業への販売・サポートも含め,グローバルに展開する計画である。
社内体制としては専任技術者1名を含む数名の技術者と販売1名で実施する。 定期的な連絡やミーティングによって大学からのスムーズな技術移転を行う。 機能試作,製品試作,量産試作をへて,実際の量産体制の確立や販売経路,サポート等は パートナー企業を通じて実現する。
事業化の課題としては,1)研究レベルの映像要約技術をどのように製品レベルに落とし込むか, 2)携帯電話端末がサポートする動画フォーマットの差異をいかに吸収するか,があげられる。
1に関してはボード試作を早期に行って大学に提供し, ハードウェア性能に適合するように映像要約エンジンをチューニングする。 2に関しては,製品化の初期には一般的な3gpp対応を優先し, パートナー企業の協力を得て個別対応のためのコンテナ変換等を実装する。
新潟大学より映像要約に関する技術協力を得る。